貴金属や投資に興味がある方でしたら、インゴットという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
インゴットとは、簡単に言うと「金属を溶かして固めた四角い塊」のことを指します。インゴットは様々な素材で作られており、主に金やプラチナ、シルバーなどの素材のインゴットが流通しています。
いわゆる「金の延べ棒」も、金のインゴットのことを指します。

近年、世界経済の不安定化が続く中、安定資産としてインゴットの存在が再評価されています。こちらの記事では、インゴットの基礎知識や市場価値、売却時のポイントまで詳しくご紹介いたします。

インゴットの基本知識

インゴットは、「金の延べ棒」や「ゴールドバー」と呼ばれることもあるため、金の四角い塊をイメージする方が多いかと思います。しかし、インゴットは金だけでなく、様々な素材やサイズの物が存在します。
まずは、市場で取引されている主な素材についてご紹介いたします。

【投資・資産保全向け】
・金(ゴールド)
最も人気。純度99.99％(K24)が主流。
・銀(シルバー)
比較的安価で初心者向け。工業需要も高い。
・プラチナ
稀少性が高く、一般消費向けのジュエリーのみならず工業用としても需要有り。
・パラジウム
近年、工業用のみならずジュエリー素材としても需要が高まっているため、価格が高騰。

【工業系・製造向け】
・アルミニウム
軽量で加工しやすく、自動車や航空機で多用されている。
・銅
配線や電子部品に不可欠な素材。
・鉄、鋼
建築、機械部品など、構造材として広く使用。
・シリコン
半導体の原料として、超高純度の単結晶インゴットが使われる。

個人が資産として保有するインゴットだけでなく、工業用素材のインゴットは様々な産業の大切な土台として各業界を支えています。

さらにインゴットには、素材だけでなく、LBMA(ロンドン地金市場協会)が定める純度や重量の厳格な規格が存在します。それらの厳しい基準に合格した企業は公認溶解業者として認められ、この企業が精錬するインゴットは「グッド・デリバリー・バー(GDB)」を名乗ることが出来ます。
つまりグット・デリバリー・バーであるということは、信頼性の高いインゴットである、ということを表しています。
日本の主なグッド・デリバリー・バー認定企業は以下です。

・田中貴金属工業
・住友金属鉱山
・三井金属鉱業
・三菱マテリアル
・日鉱金属株式会社
・徳力本店　　等々

これらの企業から販売されているインゴットは信頼性が高いため安心して購入いただけます。逆に言えば、認定を受けていない企業から販売されたインゴットを購入する際は注意が必要です。

偽物のインゴットに注意

インゴットはその価値の高さから、偽物を製造・販売している悪徳業者も存在しています。
上記に記載したようなGDB認定企業などの信頼できる販売元から購入することが一番の防止策ですが、偽物のインゴットに騙されないために、いくつかのポイントをご紹介します。

・磁石を使用する
純度の高い貴金属であれば磁石にくっつくことは無いため、磁石にくっつく場合は偽物であると言えます。
金のインゴットで磁石への反応がある場合は、表面だけ加工したメッキ製品である可能性があります。

・重さを確認する
金やプラチナはそれぞれ重さが異なるため、別の素材で製造すると重さが異なってしまいます。そのため、重さを確認することは本物かどうか見極めるための有効な手段です。
しかし、タングステンは金と似た重さのため、金メッキを施したタングステン製のインゴットも存在します。

・刻印を確認する
インゴットの表面の刻印とメルターズマークを確認しましょう。製造したブランドが信頼性の高い企業か、そして素材の種類や純度をチェックすることができます。
注意したいのは、K18という刻印が入っている場合でも、「K18GP」「K18EP」といった刻印は金メッキ製品であることを表しています。刻印には様々な意味が込められていますので、不安な場合は一度調べてみることをおすすめいたします。

近年、偽物の製造技術もより精巧になっているため、限りなく本物に近い偽物も市場に流通しています。個人間での取引やオークションサイトで購入する場合は、騙されないために一層の注意が必要です。

インゴッドが資産として人気な理由

インゴットは、実物資産として多くの投資家や資産保有者に選ばれています。
特に金やプラチナのインゴットは、国家や通貨の価値に依存せず、世界中で価値が認められている点が大きな魅力です。先行きの見えない経済状況が続く中、インフレや円安といったリスクに対する“資産の避難先”として注目されているのです。
またインゴットは、前述した通り、ロンドン貴金属市場協会（LBMA）が定める「グッド・デリバリー・バー」などの厳格な基準に沿って製造されるため、純度や重量に対する信頼性も高く、市場での換金性が非常に優れています。鑑定書や刻印といった形式的な保証があることで、安心して保有・売買が可能になります。
さらに、インゴットは保管の柔軟性もあり、自宅や貸金庫などで個人が管理できるという利便性も支持されています。一定期間以上保有すれば、譲渡益に対する税制上の優遇措置がある場合もあり、中長期的な資産保全の手段として魅力が高まっています。
このように、インゴットは“目に見えて手に取れる資産”としての安心感があり、経済環境が不安定な時代において、多くの人が新たな資産の形として注目しています。

インゴットを売却するときのポイント

では、インゴットを現金に換える際、どのようなことに気を付けたら良いのでしょうか？
少しでも高額で売却したいのであれば、いくつかのポイントを抑えることが重要です。

① 売り時を見極める
金やプラチナは日々価格が変動しているため、高騰しているタイミングで売却することをおすすめします。
価格が上昇する主な要因は、世界情勢が不安定なときや、インフレが心配される経済状況の時です。先行きが見えない状況になると、リスクの少ない金やプラチナの需要が高まり価格が上昇するため、高額買取に繋がります。
まずは今現在の相場をネットなどでチェックすると良いでしょう。

② 付属品を揃える
インゴットを購入した際に付属していた保証書や購入時の領収書があれば、一緒に査定に出しましょう。それらの付属品が本物であるという証明に繋がるため、真贋の大切な要素となります。
付属品があるだけで買取金額が上がる可能性もありますので、お手元にあることをご確認下さい。

③ 綺麗な状態で査定に出す
インゴットの表面の刻印が擦り切れてしまっていたり、見えづらい状態になっている場合、買取金額が下がる場合があります。
刻印は、そのインゴットのメーカーや素材の純度、重量、シリアル番号などを確認するための大切な要素です。それらが確認出来ない場合、買取自体が難しいケースもあります。
特に純金(K24)は非常に柔らかく繊細な素材のため、強い力で触ってしまうとそれだけで歪んでしまいます。防犯・防火などの観点も踏まえ、耐火性能付きの金庫などで保管・管理をしましょう。
また、銀行や販売業者の有料保管サービスを利用すれば安心して保管することも出来ます。

④ 本人確認書類の提出や確定申告が必要な場合も
インゴットの売却は、重量にもよりますが、高額な取引になるケースが多いかと思います。
注意したいポイントは、売却した際の利益が200万円を超える際は本人確認書類の提出が必須となります。
これは、買取した業者が税務署に200万円以上の取引について支払調書の提出が必要なためです。
また、支払調書を税務署に提出するため、売却した側も確定申告が必要となります。ご不安な場合は所轄の税務署へご相談いただくことをおすすめいたします。

まとめ：インゴットの売却に迷ったときは…

インゴットは、今後も高い価値を維持し続けるであろう資産です。とはいえ、世界中の経済が先行きの見えない状態の今、売り時を判断することも重要となります。

しかし、「もっと価値が上がるんじゃないか」「いきなり暴落する可能性も…」とお悩みの方も多くいらっしゃることと思います。
そんなときは、相場の動きを適切に見極める専門家に相談することが資産を最大限に活かすポイントです。
おきがるやは、長年の経験と豊富な査定知識により、皆さまから厚い信頼を得ています。

ご不安に感じていることや売却自体をお悩みの場合でも、お客様のお考えに寄り添ったご提案を致します。インゴットの売却・資産整理をお考えの方は、ぜひ一度「おきがるや」にご相談ください。